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おいしい仕事?(5)




   おいしい仕事?(5)


「ピンポーン。」

滅多に鳴らないチャイムの音がし、インターフォンに手をのばそうとしたらカレンダーが目に入り、今日が仕事の打ち合わせの日だった事に気付く。

打ち合わせなど電話やメールで充分なのにと思いつつ直接玄関へ向かう。

玄関ドアを開けると、いつものように秀人が立っていた。そして、その横に「ちまっ」とした女の子…。ここには関係者以外連れてくるなと口酸っぱくと言ってあるのに!

「久しぶりだな、蓮。どうした?眉間に皺がよってるぞ」

「久しぶり?先週も会った。」

「一週間も前なら久しぶりだろ?紹介するよ、この子は俺の親戚で響子ちゃん。お前に食事を取らせてやろうと思ってな、連れて来たんだ。」

「初めまして、西條響子です。今日はよろしくお願いします」

「感謝しろよ。彼女の作る料理はその辺の店で食べるよりも美味いぞ。」

「秀人兄さん、大袈裟過ぎるわ。」

つんつんと秀人のシャツの裾を引きながら、顔を赤らめてうつむく女の子。この子が作る…料理?

――俺は食に興味などないのに…。

「全然、大袈裟じゃないよ、さっ、入って。」

「おい、ちょっと待て。」

「なんだ?荷物があるから話は中でな。」

そう言ってズカズカと部屋の中に入っていく。……相変わらず強引な奴だ。ため息をつきながら玄関ドアを閉め、部屋へ戻る。




      ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




部屋の中へ戻ると秀人達は、キッチンで冷蔵庫に肉を入れたり、調理台に野菜を並べたりしていた。荷物は食材だったらしい。

「どう響子?調理器具の使い方わかるか?」

「大丈夫です。秀人兄さん。家で使っているのと同じタイプです。後は鍋とフライパンの場所を教えていただければなんとか…。」

「わかった。おい蓮!鍋とフライパンはどこだ?」

「見た事がないからわからないが、上の棚じゃないか?」

秀人は上の棚に手を伸ばしながら「見た事がないって自分の家だろう?」と言うが調理などした事がないのだから知らなくて当然だと俺は思う。

「さてと、準備も終わったし、後は響子に任せて打ち合わせ始めるか。」

「ああ。」

文句の一つや二つ言いたい所だが、何を言っても「細かい事は気にするな」と返されるのはわかっているので無駄なあがきはしない。

「秀人兄さん、コーヒー入れましょうか?」

「おぅ、頼む。」

「蓮、さっさと打ち合わせして食事にするぞ。」

打ち合わせは早くすますせたいが、食事はいらないと考えながらリビングに向かった。




      ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




打ち合わせの為の資料を揃えた所に秀人の親戚の子?がコーヒーを持って来た……のだが、その恰好に少し驚いた。料理をするので服が汚れないようにエプロンをしていたのだが、いやこれはエプロンではなく、たしか割烹着とか言う代物。

一応、若い人向けらしく白ではなくピンク色をしていたが、珍しい。流行だろうか?

「響子、今日も割烹着か?俺がかわいいエプロン買ってやるぞ。」

「秀人兄さんったら、これ機能的で便利なんですよ。袖も汚れないし。」

コーヒーをサイドテーブルに置きながらの会話で、割烹着が流行りではないらしい事がわかった。

「蓮さん。簡単な食事になりますが急いで準備しますね。」

そう言った後、にっこり笑って、キッチンに戻って行く彼女から、なぜか目が離せなかった。

「蓮。響子に見惚れる気持ちはわかるが、打ち合わせ始めるぞ。」

「見惚れてなんかいないよ、若い子には珍しいと思っただけだ。」

「ふ~ん。お前が興味を持つ事自体が珍しい現象だ。一言いっておくが、響子と付き合うには俺の許可が必要だからな。いくら俺とお前の仲でも例外はないぞ。」

「許可って…俺は誰とも付き合う気はないよ。」

「相変わらず、年寄りじみた事を言う。まあいい、さっさと打ち合わせ終わらせるぞ、腹が減って来た。」

「はい、はい。」

生返事をしながら打ち合わせを始める。合間に飲むコーヒーは自分で入れた物より遥かに美味かった。

……時々耳に入るトントンと何かを切る規則正しい音や美味しそうな臭いに何故か心が和む気がした。




      ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




撮影が始まって30分。監督が撮影を打ち切る様子はない。このまま最後まで撮り続けそうだ。

そう判断した俺は自分の仕事をする為に、そっとスタジオの外に出た。





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