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おいしい仕事?(8)




   おいしい仕事?(8)


撮影から2日後、早朝から関係者への試写会が極秘で行われた。

関係者が揃ったところで新開監督が説明を始める。

「おはようございます。お忙しい中、時間を割いてお集まりいただきありがとうございます。この試写の場を与えてもらった事に感謝します。」

一礼した後、話しを続けた。

「今回の撮影は、いくつか『問題』が発生した為、撮り直しを行いました。その『問題』については、試写の後に説明したいと思います。」

最初に説明無しと聞いて、ここまで黙って聞いていた関係者の面々はヒソヒソ話しをしたり、無言で渋い顔をしていた。

今日集まった関係者は、紗枝花(取り直しの元凶)の事務所、テレビ局、スポンサー、のお偉方がずらりと揃っている。

LMEからは松島主任と関係部門の主任3人、そして社長。LMEの最高責任者である社長の出席が事の大きさを物語っていた。

ドラマや映画で役者が降板するのは珍しい事ではない。だが今回のケースは特殊だ。

先に撮影した方の紗枝花は事務所が力を入れて売り出し中のグラビアアイドル。しかもメインスポンサーがCMに起用して後押ししている。

その後ろ盾がある紗枝花を差し置いて、キョーコちゃんで撮り直しをしたのだ、普通ではありえない…。

紗枝花の事務所と後ろ盾のスポンサーに目を向けると、面白くないのだろう、厳しい表情を崩していない。

「では、準備が出来ましたので、試写を始めます。撮影した二つの映像を続けて見ていただきます。」

監督の合図で、いろんな思惑が漂う空気を断ち切るように、試写が始まった。




      ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




試写が終わると、「先程お話しした通り、今から説明を始めます。」と監督から問題点が語られた。

「役柄や服装、禁句の台詞を前もって書面で渡した上、撮影に入る前に念押しの説明をしたのにも拘わらず、その全てが出来ていなかった事が撮り直しの原因であり、

これを放送するとこれからのストーリーを大幅に変更しなければなりません。映像を見た皆様でどちらを放送するか話し合っていただき、私はその判断に従います。」

そう話し終わると最初と同じく一礼し、社長に場を委ねた。

「今日はお忙しい中、LME所属俳優の我が儘に付き合せてしまい申し訳ありません。今回全ての責任は敦賀蓮と敦賀蓮を管理出来なかったLMEにあります。関係者の皆様に深くお詫びいたします。

その一方で、今回の彼の行動が良い作品を生み出す為であったのだと、映像を見て理解出来ました。

皆様も各々の立場があるとは思いますが、充分に議論を尽くしていただきたい。」

社長の話しも終わり話し合いが始まったのだが、なかなか前に進まない。

テレビ局側は賛成も反対も出来ない。LME側は静観していて、紗枝花の事務所は言葉を探している。メインスポンサーはどう対処するか悩んでいるようだった。

それもそうだろう、試写を終えた後では。…話しには聞いていたが、酷かったの言葉以外、出て来ない。

料理上手でスタイル抜群のグラビアアイドル、紗枝花。のはずだったのだが……。

良家の子女という設定なのに、体にピッタリ張り付いたワンピースに濃い化粧。とても良家の子女には見えない。

料理の際、身につけたエプロンは、胸の所がハート型でピンクのフリル。(周りは、まるで新婚さんのようだから別な物を進めたが本人が譲らなかった。服とエプロンは本人持ち込み。)

料理を作る影武者を連れて来たが監督が許可せず、結局自分で作った料理は炭のようなステーキ。いくつかの食材は使わないのに切り刻んで棄てたそうだ。(理由は不明。普段ブログで自分が作ったと紹介している料理は全て影武者が作った物らしい。)

これからのストーリーの要になる、蓮の、職業、年齢、出身地をしつこく聞く。(しかも蓮にしな垂れかかって。どう見ても夜の店で接客する女の子と客。)

細かい所まで言うとキリがない程で……蓮も貴島もこの子相手によく演技したもんだと思ってしまった。と言うか監督もよくこれを撮ったな。(後にどんな手を使ってもボツにするつもりで撮ったと語った。)

頭の中で試写の回想をしていると膠着状態が動き出し、それぞれの意見を述べ始めていた。

メインスポンサーは自社のCMに起用している事もあって、使える映像を編集し直す案を提示したものの、監督がさらりと反論?した。

「試写で流した物がベストだと思っています。ご希望なら撮影した映像を全てお見せしますが。」

監督の答えに考え込むスポンサー。

次に、紗枝花の事務所が契約違反を主張。それに同意する意見は、まったく出なかった。(逆にあの映像をみれば契約違反はお前達だろう!と個人的には言いたい。)

その他、いくつかの意見が出た後、メインスポンサーが会社と相談する時間が欲しいと申し出て、1時間休憩する事に。

放送日の関係でこの場で決着をつけなければならない為、持ち帰っての決断は出来ないのだ。

…ここまで、昨日社長が予想した通りの流れに驚く。普段は変人でも、さすがLMEの社長。

この後、メインスポンサーは、スポンサーから降りるか出資額の減額を言ってくる。その話しに乗ってLMEが減額分を保証し、キョーコちゃんで撮った方を放送する。と言うのが社長の予想だった。

―――しかし休憩後、事態は意外な展開に。

予想通りメインスポンサーが降りると発言し、テレビ局側も了承。(社長から了承するように根回し済。)

LMEが新たに出資をすると発言しようとした時、1社のスポンサーが一つの案を提示してきた。

「増資をする代わりにドラマの映像をCMに使わせてもらいたい。できれば3人の場面を。

理由は、調理の際うちの社のキッチン製品を機能的に扱っていて消費者が手本にできる。それに実に美味しそうに食べている二人の表情がいい。これを一から撮影するとなると、かなり費用がかかります。その費用分を増資に充てたいと思いますがいかがですか?」

この提案に反対するスポンサーは無く、LME側も了承した。ただし、貴島は別の事務所なので承諾がもらえない場合は貴島の場面はカットする事で合意。

長かった試写会は、ようやく終わった。




      ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




試写会の後、「キョーコちゃんの方の放送が決まった。」結果のみを蓮にメールすると「夜こちらから電話します。ありがとうございました。」の返事が来た。

~♪♪♪♪~

蓮からの電話は夜も遅い時間になってからだった。

「お疲れ、蓮。」

『お疲れ様です、社さん。遅い時間にすみません。』

「な~に言ってんだ、仕事で遅くなったんだろ、気にするな。今話して大丈夫なのか?キョーコちゃんは?」

『はい、大丈夫です。最上さんは、今バスルームにいます。』

「そうか、じゃあ試写会の説明するよ。」

そう言って試写会の内容やCM契約の説明を始めた。




      ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




『社さんの言う通り、意外な展開ですね。』

「社長も意外だと言っていたよ。最上君が絡むと面白い展開になるって笑ってた。」

『ハハハ、社長らしいですね。でも良かった。結果的にいい方に動いて。』

「そうだな、良かったよ。ところでキョーコちゃんへの説明はどうするつもりだ?」

『今、考え中です。』

「蓮。俺、キョーコちゃんに嫌われたくないからな、上手く説明してくれよ!」

『………。』

「お~い。蓮、聞いてるのか?」

『…はぁ~。聞いてますよ。』

「聞いてるなら返事をしろ!だいだいなんだ、そのため息は。」

『いえ、新開監督からも試写の結果がメールで送られてて来たんですが…今、社さんが言ったのと同じような内容だったので…』

「えっ、そーなんだ。それじゃ…」

『あっ、社さん、すみません。そろそろ最上さんが戻ってきそうなので、今日はこれで。』

「あ、ああ、そうだな。放送は3日後だからな、よろしく頼む。」

『何とかやってみます。また連絡しますから。』

慌ただしく切れた電話の少し後、蓮から新開監督のメールが転送されて来た。



【れ~ん。試写は上手くいったぞ。後はキョーコちゃんへの説明だけだ。お前、上手く説明してくれよ。これからバンバン使いたい女優だから、キョーコちゃんに嫌われたくないんだよなぁ。そこの所よろしく!】



―――新開監督。あなたって人は…。


俺はため息をつき、蓮の成功を祈りながら一日を終えた。






……………………………………

試写会が全然まとまらなくて遅くなりました。試写会上手くいったぞの一言で次にいけばよかった…。(反省)でも勿体ないので更新します。

蓮×キョなのにキョーコ全然でてなくてすみません。次回、たっぷり出て来る予定。ネタバレ含むのはわかっているので、はじめにの所は(9)も記載してあります。

(9)は本誌発売前に更新したかったんですが……そうすると明日まで?とりあえずチャレンジだけはしてみます。まだ一字も書いてないけど……。
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