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おいしい仕事?(9)【Side:R】

※(9)、(9.5)はネタバレが複数あります。しかも、本誌を読んでないと分からない表現が一部あります。それでもOKの方は、お進み下さい。内容を知りたくない方はコミック発売までもうしばらくお待ち下さい。













   おいしい仕事?(9)連載中


あれから3日、「何とかやってみます」とは言ったものの、放送当日になっても最上さんに話せずにいた。

今日から明後日までBJとしての撮影で彼女と同じ時間を過ごす。放送の直前に話しをするしかないかと思いながら今日の撮影に向かった。

現場へ着くと、天候の関係で屋外ロケがスタジオでの撮りに変更。今日集まった役者では撮れる部分に限りがある為、夕方には撮影終了の予定になった。

早く終わるとわかった俺は、「カイン」としてではなく「敦賀蓮」として話しをしようと決め、そのための必要な準備をしてもらう為、ジェリーウッズにメールで連絡を入れた。

しばらくして「準備OK」の返事が送られてきたのを確認して最上さんに話しかける。

「セツ。」

「なに?兄さん。」

「今日、仕事が終わったら出かける。お前も一緒だ。そのつもりでいろ。」

「えー、今日はホテルでゆっくりしようよ。」

「駄目だ、出かける。」

「んー、もう、しょうがないわね。兄さん一人で出かけて迷子になったら困るからついて行くわ。」

「俺は、子供じゃないから迷子にはならん。」

「兄さんは、子供じゃないけど迷子になる!」

「ならん。」「なる!」

「なら「ほらほら、撮影始まるよ。」

「……いってくる。」

「うん、いってらっしゃい。」

休憩の度に「セツ」と、迷子になるか、ならないかの言い合いになり、周りの失笑を買いながら一日の撮影が終わった。




      ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




ホテルに戻ったのが午後6時30分。

地下駐車場でジェリーウッズと待ち合わせて「敦賀蓮」と「最上キョーコ」に戻り、準備してもらった自分の車に乗り自宅マンションへ向かう。

「敦賀さん、どこへ行くんですか?」

行き先を知らない最上さんが聞いてくる。別に教えてもいいんだが、どういう形で放送の事を伝えるか迷っていた俺は曖昧な言葉でごまかした。

「んー、着いたらわかるよ。」

「わかりました…。」

それ以上追求してこない最上さん。自然と会話が少なくなり、今夜の事を考えていた俺は、無言になっていった。

車で30分位走った頃には自宅の近くまで来ていた。ここまで来れば、最上さんもどこに向かっているかわかるだろう。さらに5分程走らせるとマンションに着き、車を駐車場に止める。

「着いたよ。」

声をかけるが返事がない。彼女の方を見てみると―――寝てる…。

「最上さん、最上さん、着いたよ。」

何度か呼び掛けてみるが、熟睡しているのか返事がない。

今夜の段取りを考えて無口にはなったと思う。でも、この狭い車の中で、男と2人きりなのにどうして熟睡出来るのか理解出来ない。

……はぁ~。男として見てないって事だよな。この前のバスルームの件でわかってはいたけど…へこむ。

寝ている最上さんを、しばらく見つめていたが、このままここにいるわけにはいかず、起こすか運ぶか迷った末、運ぶ事にした。

自分と最上さんの荷物、その他の荷物を肩に掛け、すぐにドアが開けられるようカードキーをポケットに入れる。

助手席のドアを開けて最上さんを抱き上げ、ドアロック後エレベーターに向かう。結構衝撃があるはずなのに、全く目を覚ます様子はない。それどころか頬を胸に擦り寄せてくる。無意識なんだろうが、やられる方はたまらない。

玄関ドアを開けてゲストルームに直行し、最上さんをベッドに寝かせる。

本当に熟睡している彼女を見て思った。多少の衝撃があっても起きないくらい疲れているのだろう…と。

無理もない。自分の仕事と学校、「雪花」として演技したまま暮らす日常、疲れない方がどうかしている。

放送の事をどう伝えるべきかという事ばかり考えていた俺は、心の中で最上さんに謝った。

アレコレ悩んだのは、何の事はない、新開監督や社さんと同じで嫌われたくなかったのだろう。

…最上さんがこのまま朝まで起きなくても構わない、伝え方は成り行きにまかせよう。そう決めて俺はゲストルームを後にした。




      ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




時間を持て余した俺はトレーニングルームで一汗流した。その後、シャワーを浴びタオルで髪を拭いながらリビングに向かう。

その時「バタバタ」と足音がして、ゲストルームの方に目をやると慌てた顔で最上さんが飛び出して来た。違う場所で目が覚めてビックリしたのだろう。声をかけようとした時、リビングに最上さんの叫び声が響いた。

「ギャャャャャャャァァァァーー」

ゲストルームで何かあったと思った俺は、しゃがんで丸くなってる最上さんの両肩に手を添え「どうした何があった」と問い質すと、彼女は聞き取れない程小さな声で何か言った。

「……ふ………………。」

「えっ?何て言った?もう一度言って」

「…ふ…く、きて…くださ…い」

はっ?ふく?着る服?意味がわからず彼女を見ると、顔を覆っている手と手の隙間から見える顔が真っ赤だ。何で真っ赤になってるんだ?訳がわからず固まっていると

「つ、敦賀さん、服着て下さい。」

と言われ、自分の事だとやっと気がついた。確かに上半身裸、しかし下はちゃんと着てる。この前の状況の方がよっぽど……

「敦賀さん、服着て下さい!」

再度言う最上さんに聞いてみる。

「どうしたの?この前は平気だったじゃない?」

「こ、この前は『雪花』だったから…『カイン』の前でだけは、何とか平静を装えたんです!」

両手で顔を覆ったまま叫ぶように言う最上さん。「雪花」なら大丈夫でも「最上さん」では大丈夫じゃない…?という事は俺を少しは異性として見てくれてるって事…だよな?

自然に綻ぶ口を片手で隠し、残った方の手で最上さんの頭をポンポンとなでた。

「ごめんね、驚かせて。今、服着てくるからリビングで待ってて。」

俺の言葉にコクンと頷く最上さんを確認し、寝室でパジャマの上と上着を羽織って緩んでいるであろう頬を2、3回叩いて部屋をでた。

リビングに戻ると「つ、敦賀さん、すみません急に叫んだりして。」申し訳なさそうに謝る最上さん。

「こっちこそごめんね。起きたら別の場所で驚いたでしょ?今日、例のドラマが放送されるんだけど、ここで一緒に見ようと思ってね。」

「そうでしたか…」

何か言いたそうにしている最上さんに、「ドラマが始まるまで時間があるからお風呂入っておいで」と進め、着替えはジェリーさんに用意してもらったからと紙袋を渡した。

「『最上さん』仕様でと頼んだから過激な服じゃないと思うけど入る前に確認して。もしもの時は俺のパジャマでも貸すから。」

俺の言葉に頬を染める最上さんの背中を押し、バスルームへ誘導した。




      ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




バスルームから出て来た最上さんは夕食を食べてない事に気がつき、食料の買い出しに行こうとした。

「君がお風呂に入っている間にピザとサラダを注文したよ。たまにはこういうのもいいだろう?もうすぐ届くはずだから…」

彼女に説明しているとピザが届き、二人で飲み物や取り皿などを準備してリビングへ。

…本当は、ホテルのケータリングサービスを頼むつもりでいた。

最上さんが寝ていたので頼むタイミングを逃してしまい、彼女がお風呂の間、慌ててマンションに常駐しているコンシェルジュに早く配達出来る食べ物を聞いてピザを注文した。

「いただきます」を言い雑談しながら食べ進めているとドラマが始まり、最上さんは放送の間中、固まったままだった。

(手にピザを持っていたが口に運ばれる様子がないので、途中で皿に戻してあげた。)

マンションを訪ねる所から自分の全身が画面に映しだされ、カットされてると思っていた調理の場面は多用。さらに後半部分に放送されたCMは、ドラマから転用された映像がナレーション付きで流されていた。

放送が終わっても固まったままの最上さんに、コーヒーを入れてきて、名前を呼ぶ。何回目かの呼び掛けにようやく現実に戻って来た。その彼女に一気に説明を始める。

「驚いた?今日まで放送の事、黙っていてごめんね。最上さんで撮影した方を放送する事が決まったのが3日前でね、どう伝えようか迷っていた。本当にごめん。」

頭を下げて謝る俺に、顔と手を横に振りながら「ビックリしただけで、怒ったりしていません。謝らないで下さい。」と言う最上さんに、続けて説明する。

「現場でも言ったけど、撮り直しが必要な部分だけ使うつもりで君に頼んだ。ところが、このドラマ自体、アドリブの部分が多いだろ?それで撮影した二つの映像を編集するのは止めて別々に編集する事にした。

それをスポンサーに見せたら、君の方が採用。その時、調理の手際の良さにスポンサーが惚れ込んで、CMに起用したいと申し出たそうだよ。」

「楽しみながら仕事をして、放送までしてもらうなんて……」

「それでいいんじゃないかな?君が料理を作ってる場面は、こっちも楽しくなって君の料理を食べたくなったし、スポンサーもそういう所に目を着けたんだと思う。

それから、新開監督はこのドラマが終わるまでに最低1回は君を出演させるつもりらしいから、そのつもりでね。」

「はい。………へっ…えーーーー」

口をパクパクさせる最上さんに「はい。」って言ったからね、監督に伝えとくよ。そう言うと、「でも」、「あの」、「良いんでしょうか?」を繰り返す最上さんを説き伏せ、何とか決着させた。

ふと、時計が目に入ると、もう日付が変わってから大分たっていた。明日は早朝からBJのロケが予定されていた為、二人で食べた物の片付けをして就寝する事に。

ゲストルームに向かう最上さんに、「おやすみ」と言いながら、全部は本当の事でなくてごめん。心の中で詫びた。

最上さんが「おやすみなさい」と挨拶を返してゲストルームのドアが閉まった事を確認し、自分の寝室に向かう。

ベッドに横になり、何とか無事に?最上さんに伝えられた事にホッとした。

その一方で、彼女の姿を見ながら眠りにつく事が出来ない事実に、少しの不満を抱きながら眼を閉じた。





……………………………………

ギリギリセーフ。とりあえず間に合せました。

本誌で蓮の凹み具合を見て、ちょっぴり不憫に思い、口が緩む場面をプラスしました。(その他は予定通りです。)明日になったらまた違う事になってそうなので、無理矢理今日更新しました。キョーコが余り出てないのでもしかしたらSideキョーコでプラスするかも……。

お話は次回(10)が最終話になります。
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