FC2ブログ
   
04
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
26
27
28
29
30
   

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

君の名は… (前編)

※読まれる前に。

すみません、またもネタバレ含みます。26巻から本誌1号へのネタバレです。ある1シーンなんですけど…コミック発売まで知りたくない方はしばらくお待ち下さい。ネタバレOKの方は下記へどうぞ。













   君の名は… (前編)


その日、俺は社さんと一緒に急遽変更になった台本を事務所に取りに寄った。

台本を受け取り駐車場に向かう途中で、タレント部の近くを通りかかった時、中から椹さんの声が響く。

「…と、言う事でいいね、今度は気をつけてね、最上くん。」

俺も社さんも椹さんが呼んだその名前に反応した。

「はい、すみませんでした。今度は気をつけます。」

「今日は仕事は終わりだろう?もう遅いし、タクシー使っていいから気をつけて帰りなさい。」

「はい、お疲れさまでした。」

椹さんに挨拶する最上さんの声が聞こえた後、最上さんが廊下に出て来た。

すぐ近くに俺と社さんが立っているのに、最上さんは俯いていて気がつかない。

「最上さん、お疲れさま。今帰るところ?」

俺の声に反応して顔を上げた最上さんを見ると、瞳に涙を溜めていた…。

何があったのか聞こうと口を開こうとした時、彼女はにっこり笑って俺と社さんに挨拶をした。

「敦賀さん、社さん、お疲れさまです。私、仕事が終わって帰るところなんです、もうすぐ終電の時間なのでこれで失礼します。」

深々と頭を下げ、立ち去ろうとする最上さんの腕を掴むと彼女は「ビクッ」と体を震わせた。

「最上さん、もう終電が出る程遅い時間だから送って行くよ。ちょうど俺達も帰る所だから。」

俯いたまま「まだ、終電に間に合うから大丈夫です」と言う最上さん。

こんな状態の彼女を一人で帰すなんて出来ない。俺は掴んだままの彼女の腕を引っ張り、無理矢理、自分の車に連れて行こうとした。

その時、俺の隣で、俺と最上さんの会話を黙って聞いていた社さんが彼女に話しかける。

「キョーコちゃん、もう遅いし、蓮に送られるのが嫌だったらタクシーを手配するよ。会社としても終電が出るような時間に駅まで女の子一人で歩かせる訳にはいかないし、一人で終電に乗るのも危険だよ。」

「でも…」と言う最上さんに「キョーコちゃんの好きな方でいいから、とりあえず一階まで行こう。」社さんは、そう言って彼女をエレベーターへと促した。

社さんの言葉に「コクン」と頷いてエレベーターの方に歩き出した最上さんの腕を離し、無言で自分のハンカチを最上さんに差し出すと…

彼女は、一瞬、躊躇した後「お借りします。」と小さな声でお礼を言ってハンカチを受け取り、それを使って目から少しだけ零れた涙を拭き取った。


エレベーターが来るのを待っていると「敦賀さん、社さん、ご迷惑かけてすみません。」謝ってくる最上さんに俺と社さんは口を揃えた。

「迷惑なんかじゃないよ、最上さん。」

「迷惑なんかじゃないよ、キョーコちゃん。」

見事にハモった俺と社さんを見て「プッ」と最上さんが吹き出して笑う。

少しだけだか笑顔の出た最上さんにホッとしているとエレベーターが到着し、3人でそれに乗り込んだ。

「キョーコちゃん、キョーコちゃんの下宿は通り道だし、蓮の車で一緒に帰ろう?」

社さんはエレベーターに乗り込んだと同時に、最上さんにそう進めた。

「ありがとうございます、社さん。敦賀さん、あの…送っていただいても宜しいでしょうか?」

社さんにお礼を言い、オズオズと俺に聞いてくる最上さん。

「勿論。俺でよければいつでも送るから声をかけてね。」

微笑みながら言うと、やっと、彼女はいつもの笑顔を見せた。そして手と首を横に振りながら言った。

「敦賀さんに送って下さいって、お願いするなんてとんでもない!」

そんなに強く否定しなくてもいいんじゃないかと少しヘコむ…君になら、俺が仕事をしている以外の全ての時間をあげるのに。

短い会話をしている間に、エレベーターは地下駐車場に着いた。




      ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




駐車場を出て赤信号で車を停めた時に最上さんに話しかける。

「最上さん、何か悩んでる?椹主任に注意されていたようだけど…俺で力になれるなら力になるし、話すだけでも心が軽くなるかもしれないよ。…無理には聞かないけど。」

最上さんは少し長い沈黙の後、やっと言葉を発した。

「…どこからお話したらいいのかわかりませんが、聞いていただけますか?」

俺と社さんは「もちろん」と返事をすると、最上さんはポツリポツリと話し始めた。

「…実は、バレンタインの少し前から携帯に変な電話が掛かってくるようになって…」

「携帯に?」

「はい…始めに非通知で無言電話が掛かってきて、私が話しかけたら『ブチッ』と切れたんです。その後何回かそれが続いて…」

俺は驚いた。最上さんに、そんな不気味な電話が掛かって来たなんて知らなかった…。

「…気味が悪くて、椹主任に相談したら携帯を新しい物に変えてくださったんです。電話番号も変えて…」

「そうだったんだ、よかったねキョーコちゃん。それなら相手も番号を調べようがないから安心だ。」

社さんがホッとしたように言った後、最上さんは言いにくそうに、話しを続けた。

「そ、それが…番号が変わって私も安心していんですが、変えてすぐに…今度は不気味な声で電話が掛かってきたんです。」

「えっ?番号変えてすぐに?」

社さんが驚いた声で最上さんに聞く。

「…はい、それでビックリして。気持ち悪くて携帯を投げて壊してしまったんです。それを椹主任に話したら…また新しい携帯を準備して下さって、事務所からの連絡も特別に番号を通知して掛けてもらえる事になりました。」

「そうだったんだ。キョーコちゃん、これからは非通知の電話は拒否すればいいよ、それで様子を見てまだ掛かってくるようなら、警察に頼んで変な電話を掛けてくる奴を捜し出してもらえばいい。」

「そ、そうですよ…ね。でも…」

社さんが、至極、正論を最上さんに述べているのに最上さんは歯切れの悪い返事をする。

「最上さん、俺も社さんの言う通りだと思う。非通知でそんな嫌がらせのような事をする奴は無視すればいいんだよ。」

社さんの意見に強くに同意した事を最上さんに言うと、彼女はなせが言葉を濁す。

「おっしゃる通りなんですが…」

怖い思いをしていながら、非通知を無視する事に同意しない最上さんにイラつき、ついキツイ言葉を投げ付けた。

「最上さん、本当にその嫌がらせする不気味な奴を排除する気があるの?」

そして、彼女の言葉に俺は地の底へと落とされる…。

「あ、あります。不気味な奴は排除したいですが、私にとって『大切な人』から非通知で電話が掛かってくるんです!それでどうすればいいか悩んでいるんです!!」

「ええ~、キョーコちゃん、付き合ってる人いたの?」

最上さんと社さん言葉に呆然としていると、最上さんは「付き合ってません!」と否定したが、非通知で電話してくるような奴を大切に思ってるなんて。

「最上さん、最上さんは相手を大切に思っているみたいだけど、相手は非通知で掛けてくるくらいなんだから最上さんの事をなんとも思ってないんじゃない?そんな奴、やめといた方がいいと思うけど!」

社さんに「お、おい、蓮、言い過ぎだぞ」と言われたが自分では、もう最上さんへの暴言が止められなかった。

「つ、敦賀さんのおっしゃる通りです!でも、私が勝手に大切に思うくらいいいじゃないですか!!車を停めて下さい、私降ります!」

言い過ぎたのはわかっていたが、彼女の『大切な人』に嫉妬して素直に謝れない…。

「俺の車なんかに乗りたくないだろうけど、もうすぐ着くから。」

俺と最上さんの間でオロオロとしている社さんを横目に、何とかそれだけ言う。

「私が乗りたくないんじゃなくって、敦賀さんが乗せたくないんですよね!今、はっきり、ご自分の口で言ったじゃないですか!!」

俺が最上さんにそんな事を言うはずもなく、訳のわからない事を言う彼女に怒りを覚えた。

「何の話?いつ俺がそんな事を「ち、ちょ、ちょっと、待って二人共!」

俺の言葉に被せて社さんが間に入る。

「蓮、とりあえず車停めろ、話はそれからだ。」

車を停めたくはなかったが、社さんに再度「蓮、このまま仲たがいしたままがいやならさっさと停めろ。」と言われ、渋々停車した。





    後編へつづく。




スポンサーサイト
Secret

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。